
「足の血管が浮き出る」「足の血管がボコボコしている」などの見た目の症状は、ひょっとすると下肢静脈瘤という足の静脈の病気かもしれません。この記事では、下肢静脈瘤の原因や症状、治し方について解説します。
当院では、下肢静脈瘤を専門とした日帰り外科治療を行っています。血管のお悩みをお持ちの方は、愛知県名古屋市「栄駅」から徒歩4分の「さかえ血管外科・循環器クリニック」まで、お気軽にご相談ください。
足がだるい、むくむ、血管がボコボコと浮き出るなどの症状をお持ちではありませんか?
これらは「下肢静脈瘤」の可能性があります。下肢静脈瘤は、足の静脈に発生する病気であり、多くの方が悩まれる一般的な疾患です。命に関わるものではありませんが、放置すると症状が悪化することがあります。
この記事では、下肢静脈瘤の症状や原因、種類について解説します。
こんなお悩みありませんか?
こういった症状は「下肢静脈瘤」によるものかもしれません。
下肢静脈瘤は決して恐ろしい病気ではありませんが、適切な治療を行わなければなかなか治りません。
まずはしっかりとご自身の足をチェックしてみましょう。
人の血管には、心臓から酸素を豊富に含んだ血液を各内臓に送るための「動脈」と、各臓器で酸素が消費された血液を再び心臓に戻すための「静脈」という2種類の血管があります。
「下肢静脈瘤」とは、この血管の中でも静脈、特に足の「静脈」に生じる病気で、見た目がボコボコとしていたり、細い血管が透けて見えていたり、また、見た目以外にも足のだるさやむくみ、こむら返りといった様々の症状が出てくる病気です。
欧米諸国では、約20~50%の割合で下肢静脈瘤が見られるとの報告があり、日本でも年齢が上がるにつれて、下肢静脈瘤の割合は増えていくとされています。
一般的には、女性に多いとされている病気ですが、立ち仕事などに従事されている方々では、性別に関係なく多く見られるものです。 下肢静脈瘤は、命の危険を伴う病ではありませんが、放置した場合は悪化することが多く、適切な診断と、その状況に応じた様々な治療が必要とされます。
足の静脈には、酸素が消費された血液を重力に逆らって、心臓に向かって下から上へと運ぶ役割があります。
足の静脈を大きく分類すると、足の筋肉の内部を通る「深部静脈」と、筋肉の外部を通る「大伏在静脈」、「小伏在静脈」の3種類があります。
足の静脈は筋肉が動くことで収縮と弛緩が生じ、その繰り返しにより血液が流れていきます(これを足の「筋ポンプ作用」と呼びます)。
心臓から流れる血液は全身の様々な部分で酸素を消費し、その血液の一部はこの3種類の足の静脈を通って再び心臓に戻ります。
心臓から出て、再び心臓に還るという「血液循環」は人が生きていく上で非常に重要ですが、その中でも足の静脈は心臓に血液を戻すための「ポンプ」と言えるほど重要な役割を果たしています(「足は第二の心臓」と言われるのはこのためです)。
そのため、足の筋肉が動かない状態(寝ている状態や立ちっぱなし、座りっぱなしといった状態)が続くと、静脈の収縮と弛緩が生じにくくなり、その結果、静脈内にどんどん血液が溜まり、足のむくみやだるさ、こむら返りといった症状が現れやすくなります。
ここにさらに「下肢静脈瘤」の状態が加わると、むくみやだるさといった症状が増悪し、血液循環が悪くなり、場合によっては日常生活に影響が出ることもあります。
足の静脈には、重力に逆らって血液を下から上と流していくための「逆流防止弁」という特殊な構造があります。
これは上がった血液が重力に負けて落ちてこないようにするための扉のようなもので、適切なタイミングでこの扉が開閉することで、血液の流れを下から上の一方通行に保っています。
下肢静脈瘤になると、この扉の開閉がうまくいかなくなってしまいます(逆流防止弁の機能不全)。
これにより、せっかく上がった血液が重力に負け、下に落ちてしまうようになります。
「逆流防止弁の機能不全」は、立ち仕事や妊娠・出産といった、静脈内の圧力の上昇が起こりやすい状況でより一層生じやすくなります。
このような状況が続くと、足の静脈にどんどん血液が溜まりやすくなり、常に足に重りがついたような状態になるので、足のむくみやだるさなどの症状が出てきます。また、見た目にも、足の表面にある静脈がボコボコと膨らんできます。
この「逆流防止弁の機能不全」は、一度生じてしまうと、内服薬や日常生活の改善のみで治癒することはほとんどなく、適切な処置を行わなければどんどん悪化していきます。
下肢静脈瘤では主に足の筋肉の外部にある大伏在静脈と小伏在静脈(伏在静脈系)の中にある逆流防止弁が機能不全を起こすため、これらの静脈に血液が溜まりやすくなります。
一般的には、男性よりも女性のほうが約2倍、下肢静脈瘤になりやすいと考えられています。
女性は男性に比べて足の筋肉量が少ないことが多く、そのため足の筋肉のポンプ機能が低下しやすくなり、足の静脈に血液が溜まりやすくなるためです。
また、ホルモンバランスの影響で血管そのものが弱くなりやすいことも一因とされています。
妊娠経過中の女性は、子宮が大きくなるにつれて、おなかの中で静脈が圧迫されやすくなります。
これにより、おなかの中の静脈につながる足の静脈の圧力が上昇しやすくなります。また出産時の力みなどが原因で逆流防止弁が壊れてしまうこともあります。
なお第2子以降の妊娠・出産では、より下肢静脈瘤になりやすいとされています。
仕事内容によっては、立ちっぱなし、座りっぱなしの状態が長く続くことがあります。
このような「動かない姿勢」が続くことは、足の筋肉のポンプ作用が機能しにくくなり、静脈内の圧力を高める要因となりえます。
これは調理師さんや美容師さんなど立ち仕事の方、座ったまま動かない姿勢が続くデスクワークの方に下肢静脈瘤が生じやすい理由の一つと考えられています。
また1日のうち10時間ほど動かない、もしくは動いてもほんの僅か、という状態が続いている方は、下肢静脈瘤になるリスクが高いとされています。
年齢を重ねるにつれて、男女を問わず運動量が低下していきます。すると足の筋肉量も低下していき、足の筋肉のポンプ作用が機能しにくくなり、静脈内に血液が溜まりやすくなります。
また、加齢とともに逆流防止弁そのものが弱くなっていくこともあり、これも下肢静脈瘤の一因となります。
身内の方に下肢静脈瘤の人がいる場合、その血縁者に下肢静脈瘤が遺伝するということがあります。
これは遺伝的に逆流防止弁が弱くなっていることが考えられ、両親が下肢静脈瘤だった場合は、そのお子さん達には9割ほどの確率で遺伝するというデータもあります。
一般的に、喫煙や高血圧、高コレステロール血症といった、主に動脈性の疾患に影響を与える因子は、静脈にも影響があるとされています。
また、便秘症や肥満症、日常的な運動不足なども、静脈内の圧力が上昇する原因となり、下肢静脈瘤のリスクが上昇します。
下肢静脈瘤には、比較的治療しやすい「1次性下肢静脈瘤」と、治療が困難、もしくはあえて治療してはいけない「2次性下肢静脈瘤」とがあります。
これは、生まれつき(先天的に)もしくは、成長過程で(後天的に)生じるタイプの下肢静脈瘤であり、主に筋肉の外側にある伏在静脈系の逆流防止弁が壊れることにより生じます。
一般的に「下肢静脈瘤」と認識されているのはこの1次性下肢静脈瘤が多く、ほとんどの場合は治療が可能です。
これは、何か特別な理由により主に伏在静脈系がボコボコと膨らみ、血液が溜まった状態の静脈瘤です。
何か特別な理由とは、別の疾患を原因として「深部静脈血栓症」(足の筋肉の内部を通る深部静脈に血栓ができてしまう状態)が生じていることが多いです。
これにより深部静脈の血流が低下し、その代わりに伏在静脈系の血流が増えてしまうことによって生じます。
こういった場合の静脈瘤を治療してしまうと、足の血液の心臓への戻り道がなくなってしまうため、状態がより一層悪化してしまうことがあります。
主に、筋肉の外側にある大伏在静脈や小伏在静脈の逆流防止弁が機能不全を起こすことによる下肢静脈瘤です。
足の内側やふくらはぎの表面に太い血管がボコボコと目立ってきたり、また、足のむくみやだるさ、痒み、こむら返りが頻回に生じたりといった自覚症状が強く表れやすい静脈瘤です。
約8割がこのタイプの静脈瘤とされています。
皮膚の直下にある細い静脈に生じる静脈瘤で、太さは約2~3mmのものがほとんどです。
伏在静脈瘤のようにむくみやだるさなどの自覚症状を伴うことは少ないですが、皮膚を透かして目立つようになり、主に美容的な不快感を訴える方が多いです。
その見え方から網目状静脈瘤と呼ばれ、膝裏によく見られます。
皮膚の直下にある細い静脈に生じる静脈瘤で、太さは約1mm弱のものがほとんどです。
クモの巣のように赤紫色の非常に細い血管が、皮膚を透かして見えるようになり、美容的な不快を訴える方が多いです。太ももや脹脛、膝裏などに生じることが多いです。
大伏在静脈や小伏在静脈につながる表面の静脈が太くなっている静脈瘤です。伏在静脈系には静脈瘤が見られず、より末端の静脈で逆流防止弁が壊れることで発症します。
伏在静脈瘤に比べて、それほど血管は太くなりませんが、伏在静脈瘤と併発することが多く、同時に治療されることもしばしばあります。伏在静脈瘤よりも細い血管で起こるため、自覚症状も少ないとされています。
足のつけ根から太ももの裏側、臀部にかけてみられる静脈瘤です。
特に女性の場合、生理期間中に痛みやだるさといった症状が強く出ることがあります。また、排便、排尿時にも症状が強く出ることがあります。
肉眼で見ると静脈がそれほど目立たないために見逃されることや、治療の必要がないと判断されてしまうことがありますが、見た目に反して症状が強く出ることが多く、悩んでいる女性の方は多いと思われます。
下肢静脈瘤は、足の静脈の逆流防止弁の機能不全により足に常に血液が溜まりやすい状態になることで、以下のように様々な症状を引き起こします。
足に血液が溜まりやすいということは、常に足に重りをぶら下げているような状態であると言えます。
足にボコボコとした血管が目立つようになったり、見た目は正常でも足のだるさやむくみが強くなってきたりすることもあります。
下肢静脈瘤は、時間経過とともに足の表面の静脈に血液が溜まっていき、どんどんと太くなって目立つようになります。
特に女性の場合は、スカートが履きにくいなどの美容的な問題で悩まれている方も多いです。
足に血液が溜まりやすくなることで、血液とともにリンパ液も溜まりやすくなります。
血液やリンパ液の流れが滞ることで、余分な水分が血管内から染み出し、皮膚の下に溜まってむくみとなります。
これは下肢静脈瘤の初期の段階から見られる症状です。
足に「血液の溜まり」という重りが生じるので、日常生活で足にだるさを感じることが多くなります。
また、ここで溜まる血液はすでに酸素が消費された、言わば栄養不足の血液なので、このような血液が足の筋肉の周りに溜まってしまうと、筋肉の疲労がなかなか回復せず、だるさを感じる原因にもなります。
これも下肢静脈瘤の初期の段階から見られる症状です。
栄養不足の血液が筋肉の周りに溜まってしまい、筋肉疲労が回復しないままの状態が続くと、足のこむら返りが生じやすくなります。
下肢静脈瘤によるこむら返りは、就寝中や起床時に起きることが特徴です。
また「以前は就寝中や起床時のこむら返りがあったが、最近は無くなってきた」という経過も特徴とされています。
下肢静脈瘤により、足の血流が滞りやすい状態が続くと、足の皮膚そのものにも炎症(うっ滞性皮膚炎)を起こすことがあります。
その程度によっては、かゆみや痛みなどの症状が出てきます。
下肢静脈瘤による皮膚炎などを繰り返し、そのまま放置しておくと、足に茶色や黒色といった色がついてくることがあります。この状態は色素沈着といって、下肢静脈瘤による症状の中でも重症なものの一つです。
足の色が変わってくると、まず皮膚科を受診される方が多く、そこで処方された塗り薬などで経過を見ている方がほとんどです。
しかしながら、色素沈着の原因が下肢静脈瘤だった場合は、静脈瘤を治療しなければ色素沈着は改善せず、ひどい場合は、潰瘍などができたりします。
下肢静脈瘤による皮膚炎や色素沈着の状態が長期間続くと、足に潰瘍ができてくることがあります。
皮膚の栄養状態が悪くなっているため、一度潰瘍ができてしまうと、治りが悪いことが多いです。
潰瘍はかゆみや痛みを生じ、また出血を繰り返すなどの症状が出ることもあり、日常生活にも影響が出ることがあります。
潰瘍が長年続き、皮膚科にて塗り薬を処方されている方もいますが、下肢静脈瘤が原因の潰瘍では、しっかりと下肢静脈瘤を治療する必要があります。
下肢静脈瘤は足に常に血液が溜まっている状態と考えられるので、夏場でも足がポカポカと感じる方もいます。
不快感を伴う熱感なので、強い自覚症状があります。
下肢静脈瘤では、時折、静脈瘤の部分に血の塊(血栓)ができて炎症を起こすことがあります。
これを「静脈炎」と呼び、赤くはれて痛みを伴うことがあります。
下肢静脈瘤そのものが痛みを来すことは少ないですが、静脈炎を併発すると痛みが強く出ることがありますので、早めの診察が必要となります。
足のしびれ、冷感、膝の痛みは、一般的には下肢静脈瘤との関連は低いとされています。
しかしながら、下肢静脈瘤を治療することで、足にかかっている負担が軽減され、結果的にこれらの症状が改善することもあります。
特に膝の痛みが改善する方が多く見られます。
血管外科専門医が下肢静脈瘤の日帰り手術を担当。専門性と安全性に配慮し、患者様の身体的負担を最小限に抑えています。
院長は8,000例を超える下肢静脈瘤治療に携わり、豊富な経験をもとに一人ひとりに最適な治療法を提案します。
局所麻酔を用いた痛みに配慮した治療で、不快感を抑えながら安全に施術を行います。
当院の下肢静脈瘤治療は保険適用が可能です。
名古屋・栄駅から徒歩4分の便利なアクセスで、通院の負担を軽減できます。
日帰り下肢静脈瘤手術なら
さかえ血管外科・循環器クリニックへ
監修者
さかえ血管外科・循環器クリニック
院長 平本 明徳
大学卒業後は、関東エリアを中心として心臓血管外科医として治療経験を積み、前任地では下肢静脈瘤の治療の専門としてこれまでに8,000例以上の治療実績を持ちます。2020年にさかえ血管外科・循環器クリニックを開業し、「人生を楽しむための下肢静脈瘤治療」をテーマに下肢静脈瘤治療を中心に日帰り外科治療を行なっています。
